常に人材不足に悩まされている業界の一つが介護業界である。
ここでは、その原因がなんなのかを、介護現場の現状を見ながら紐解いて見たいと思う。
まず、介護士の中でもプロフェッショナルだといわれているのが、介護福祉士という国家資格を取得した人材だ。
介護福祉士の資格は、受験者数の60%前後が合格するといわれているため、国家資格の中では比較的取得しやすい資格である。
そのため、毎年9万人前後の合格者が出ているといわれている。
この数字だけを見ると、介護士の全体数はそれほど少ないわけではないということが窺える。
しかし、なぜ介護業界が人材不足になってしまうのかというと、それは介護福祉士の資格を取得しても、介護現場で活躍する人が少ないからだ。
厚生労働省の統計によれば、介護福祉士の登録者数は年々増えているにも関わらず、介護職への従事率は低迷が続いており、全体の60%を割り込んでいるそうだ。
また、介護職への従事率が低い主な理由は、次の2点だといわれている。
1つ目は給料が安いという点だ。
これは統計的にも明らかで、産業界全体における平均賃金と、介護職従事者の平均賃金では非常に大きな差が出ているようだ。
平均勤続年数が産業界全体に比べて短いことも要因の一つに挙げられるが、これから介護士として働こうとしている人は、給与が低いと意欲が削がれてしまうだろう。
そして2つ目は、仕事がきついという点だ。
かつて3Kという言葉が流行ったが、介護職はまさに3Kといえる。
そのため、若者には敬遠されやすいのだ。
このことは15%を超える離職率の高さからも垣間見ることができる。
これらは介護業界の人材不足の要因の一部に過ぎないが、今の状況を打開するためには、業界全体でそれぞれの問題に向き合う必要があるだろう。