人手不足が招く問題点とその改善策

人材不足に悩む介護の現場は多いといわれている。
それは介護分野の求人倍率が、全職業の平均の4倍にも上ることからも読み取ることができる。
さらに、高齢化が進む現代社会では介護士の人材不足の解消は難しく、厚生労働省の試算では、仮に現状のまま推移すると2025年には30万人を超える人材が不足する事態が予想されているようだ。

このような慢性的ともいえる人材不足が原因で生じる問題は、介護士の労働時間が不規則になる点だろう。
介護士の中には長時間労働を強いられている人が少なくない。
そして、決まった曜日に休むことも有給休暇を取ることも難しい状況を招いているのだ。

また、十分な人材が足りていないと介護士1人にかかる身体的な負担も大きくなる。
各介護士が常に疲労がたまっているような状況では、職場の雰囲気は悪くなる一方であり、精神的なストレスを抱えてしまうことも考えられる。
そこで、人材不足を改善させるために、行政は多くの取り組みを現在模索しているようだ。
その取り組みとは、例えば介護分野に関心がある人に対する支援だ。
実際に介護の職務に触れてもらうために、介護事業所での介護セミナーやボランティア体験などを企画し、将来の介護士として人材育成を図るという取り組みである。

それから、介護事業者の中には、職場環境の整備を始めているところもある。
介護士本人に働く時間帯の希望を聞いたり、定期的なミーティングを通して介護現場でのコミュニケーションの円滑化を図るといった居心地の良い環境づくりである。
人材不足は簡単に解決できる問題ではない。
しかし、高齢化が進む社会では、人材不足ではあっても働きやすい環境を整えることは欠かせないのだ。